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金銭的インセンティブで人は行動変容するのか

個人においてはウェアラブルの普及やヘルスケア関連アプリの増加、企業においては企業が社員の健康管理するのではなく、投資をして戦略的にマネージメントしていく健康経営®︎などの取り組みが流行していることから、健康ブームが起こっているかのように感じます。

日本政府としても、健康寿命の延伸に取り組んでいますが、健康寿命を低下させるのは、慢性的な病気です。しかし、この慢性的な病気を予防・改善するためには、乗り越えるべき非常に高い壁があります。そのために金銭的なインセンティブがよく利用されますが、金銭的インセンティブに対する意見を科学的な知見も踏まえながら解説していきます。

【本記事のテーマ】
■いかに行動変容してもらえるか
■金銭的インセンティブで人は健康になれるのか
■金銭的インセンティブは歩数を増やすか
■心理的報酬が行動変容のカギ

いかに行動変容してもらえるか

健康とは、普段の生活習慣の積み重ねによる結果なので、悪い生活習慣をしていれば、その負債が積み重なり、いつか健康を害します。

私も修士課程に通っていた際は、日中はリハビリの仕事をして、仕事後に車で1時間かけて大学院に通っていました。夜中の2時ごろまで研究をして、3時くらいに帰宅し、焼肉弁当を食べてから寝て、6時に起きて仕事にいくという、劣悪な生活習慣を2年間続けた結果、23–4歳の若さで尿路結石に3回もなるなど、健康に悩まされたのを覚えています(笑)

でもジムに行って運動しだしたら、それ以降は大きな健康課題なく過ごせています!これも行動変容したことによる成果だと思ってます。

ただこれまでの私自身の経験則からも、"いかに行動変容するか or してもらうか"は医療・ヘルスケア業界において最も難しい課題であると考えています。

この行動変容をしてもらうために色々な取り組みがされていますが、その中でも多いのが"金銭的インセンティブ"です。

たくさん歩けば歩くほど、ポイントがもらえて、それでECサイトで商品が買うことができたり、地元の商店街で使える商品券がもらえたりするなどの取り組みがされてきています。

しかし、金銭的なインセンティブは本当に効果があるのかは私は疑問に思っています。

金銭的インセンティブで人は健康になれるのか

結論から言いますが、今のところの私の認識では答えは"No"です。もちろん短期的な行動変容は生じますが、本来、達成すべき長期的な行動変容に伴う健康は、金銭的インセンティブだけでは、手に入れられないと考えています

人の行動を変えるときに、よく医療業界で考えられるのが、外的動機づけ/内的動機づけの問題です。

外的動機づけとは、アメとムチのようなもので、外の環境により与えられる刺激のことをさします。金銭的インセンティブもこの外的動機づけの一つでアメと言うことができると思います。あとは、お母さんにいわれるような、『掃除しないと、ゲームしちゃダメだよ!』などは、ムチとしての外的動機づけです。

健康行動するとポイントもらえるよ。とか、商品券あげるよとかは、非常にわかりやすい外的動機づけの方法だと思います。

内的動機づけとは、例えば『好きな人ができてあの人に振り返ってもらうために、ダイエットするんだ!』などというような、自分の中から溢れ出るモチベーションに基づいて生じるものです。

私は、いかにこの内的動機づけを行動変容に利用するかがキーポイントかなと考えています。その理由を次に書いていきます。

金銭的インセンティブは歩数を増やすか

例えば、ダイエットや運動習慣などに対する金銭的インセンティブの研究も多くされています。

これは金銭的インセンティブを与えることで日常の歩数が増えるかを検証した研究ですが、金銭的インセンティブがあっても、特に歩数が増えることはなかったという結果が出ています。

もちろん、金銭的インセンティブが行動変容をもたらしたという研究成果もありますが、その論文を読んでいると、ゲーミフィケーションやそシャルネットワークの繋がり、例えば、成果をFacebookでシェアするなどの要素が強い研究がほとんどで、金銭的インセンティブの効果とは言いづらい印象を持っています(本当にこのデータは正しいのかという研究的視点でみると、たくさん言えることはありますが深い話で長くなるので省略します)。

もちろん金銭的インセンティブは、短期的には効果を示すと思います。もし、これを使うとしても、『インセンティブの価値』・『即時性』・『持続性』の3点に配慮すべきだと思っています。

『インセンティブの価値』というのは、例えばお金持ちに1日1万歩歩いたら、1万円あげますよといっても、動機付けとしては弱いと思います。一方で、子沢山の家族で、家計も苦しい場合だと、1万円くれるなら自転車で行っていたスーパーも歩いて行こう!などなる可能性は高いです。このようにインセンティブは対象者の属性やバックグラウンドにより、その価値は大きく変わります。

あとは、『即時性』。人の脳というのは、何かのアクションを起こしたら、素早いフィードバックを求めるので、そのスピードが大事。早ければ早いほど、ポジティブな効果をもたらし、主体性を引き起こすので、自分がこういう行動を起こしたことによる報酬なんだ!と効果的に働きます。

そのため、6ヶ月先に商品券がもらえるのは、即時性に乏しいので、人は継続して行動変容しません。でも、例えば、この1週間で1日1万歩達成したら、日曜日に商品券をお渡ししますといえば多くの人が行動を変えると思います。

最後に、非常に大切な『持続性』。ほとんどの場合、外的動機づけには慣れが発生してしまうので、習慣を変えるために金銭的インセンティブを使うには、継続的にその対価を上げて行くなどの対応をしないと継続しないと言われており、取り組むには費用対効果を明確に計算すべきだと指摘されています。さらに、金銭的な外的動機づけは、自分でコントロールすることが不可能なので持続性という視点から見ると弱みになり、金銭的インセンティブをやめてしまうと一気に行動変容する人々の割合も激減するという報告もされています。

心理的報酬が行動変容のカギ

では、内的動機づけはどうでしょうか。人には、達成したいという欲や、周りと繋がりたい・認められたいというような承認欲求など、心理的な報酬というものがあります。私も、野球をしていた頃は見ている女の子にモテるために、簡単な打球をワザとタイミングをずらしてダイビングキャッチなどやっていましたw

実体験からもw、本当の行動変容を起こすには、心理的な報酬が最重要だと考えています。

例えば子供のころを思い出すと、お母さんに褒められたいから、買い物にいくということはなかったですか?このとき、私たちは、決して買い物に行きたい!と思ってるわけではなく、お母さんに褒められたい!と思い、その手段として買い物に行くだけなのです。

これを健康に置き換えると、健康になることを目的にするのではなく、健康になることは、例えば"綺麗に見られたい"・"楽しく家族と友達と笑って過ごしたい"というような目的を達成するための手段でしかありません。なので健康になることを目指しても、うまくいきません。

この良い事例がPokémon GOですよね。新しいポケモンを捕まえたいから、街に繰り出し、歩き回る。その結果、歩数が劇的に増えた、健康になった、うつ病が改善したなど、数多くの研究報告がされました。なので健康になることを目的にすることはあまり効果的ではないと思っています。

少し話が逸れましたが、人は誰かに認められたとき、何かを達成したとき、好きなことをするときに達成感が満たされたり、承認欲求が満たされたりします。

そんなときは、脳内でどのような変化が起こっているかというと、ドーパミンというホルモンが出ています。これは"幸せホルモン"とも言われるホルモンです。

人は好きなことや面白いこと嬉しいこと、つまりポジティブな感情が働くときは脳の扁桃体という部分が活発に働きます。そうすると、ドーパミンが分泌されて、行動意欲が増加します。つまり、行動変容に繋がります。

なので、人の健康を支えるためには、この内的動機づけをいかにサポートするかが重要です。現在、ポケットセラピストのユーザーのサポートに関しても、この内的動機づけのスキルを利用することで、いかに自身の健康を取り戻してもらうかを真剣に取り組んでいます。というのも腰痛も生活習慣病であり、普段の習慣の積み重ねが原因となっているので、行動変容が必須だからです。

今日は金銭的インセンティブで人々は健康になるのかというテーマで、外的動機づけよりも、内的動機づけの方が重要なのではないか。という話をしましたが、もちろん人により外的動機づけが有効な人もいますので、ユーザーに合わせて、うまく使い分けることが大切ですね。

現在、ポケットセラピストは大手企業様を中心に導入企業を拡大しており、営業職、カスタマーサクセス、エンジニアを募集しておりますので、ぜひご興味ある方は下記よりご連絡ください!

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株式会社バックテック

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