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目の前にいない患者を幸せにする時代

『目の前にいる一人一人の将来を想い、全力で幸せにする』

2011年春。私が、理学療法士の国家資格を取得し、最初に臨床現場に降り立ったとき、自分が”医療職”という職業に思い描いていたイメージだ。いや、仕事への抱負的なものかもしれない。

しかし、8年経った今、僕はこう考えている。

『目の前にいない患者を全力で幸せにする』

これが何を意味しているか、そして、そのために我々セラピストが今日からできることについて話していきたい。

ロケーションの分散化

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大学病院、開業医、地域、自宅・職場。
医療・ヘルスケアサービスを受けられるロケーションは時代とともに確実に分散化してきている。これまでは、体調を悪くすると、まずは自分の時間をとって病院にいく、そして、薬をもらいに行くということが当たり前だった。診察の長い待ち時間も仕方ないことだったが、今や明らかに待ち時間なるものはCustomer Painである。
ロケーションの分散化の良い事例が平安グッドドクターだ。オンライン診療だけでなく、処方やECなども総合的に価値提供している。平安グッドドクターの体験については下記の記事がわかりやすいので、知らない方は参照してほしい。

このように、医療・ヘルスケアサービスを受けるロケーションは分散化しており、かつ、国民の生活により密着するようになってきている。

そこで考えていただきたいのが、我々、セラピストが価値提供する場は分散化できているか。という問いである。

我々が価値提供すべき患者さん(エンドユーザー)の体験の場は、分散化しているが、我々はその時代の波に乗れているのだろうか。

確かに、一般企業に就職する者、行政で健康増進に関わる者、予防事業を展開しようと試みる者など、分散化は少しずつ見られているが、まだ、そのような道を選ぶセラピストはごく少数であり、大半が医療・介護関連機関に就職する、もしくは、働き続けているのではないだろうか。学校教育においても、まだ医療職=医療・介護関連機関への就職を意識した授業が多いように感じている。これは決して、医療機関で働き続けることを否定しているわけではない。伝えたいのは、ロケーションの分散化に伴い、医療機関にいながら価値提供できる可能性・フィールドは年々、拡大してきているということに気づいて欲しいということだ

例えば当社のポケットセラピストでは、ユーザーは職場や自宅にいながら、セラピストの専門的なサポートが受けられる仕組みとなっている。セラピストにとっては、職場・自宅・留学先どこからでも、自分のスキルをユーザーの課題解決のために提供することができる仕組みだ。

これはタイトルにもあるように『目の前にいない患者を幸せにする』取り組みである。ここでいう”目の前にいない患者”とは、実際に”その場でリアルな対面をしていない”ということと、”今は患者レベルではない予防フェーズ(つまり放置しておくと5年後、10年後、あなたの勤務する医療機関に患者としてくるかもしれない将来の患者)”という2つの意味を込めている言葉だ。

そんな”目の前にいない患者”を一人でも少なくするために、目の前にいない今のうちにその人の課題解決をサポートするのがポケットセラピストだ。

実際に最近のユーザーからはこんなコメントをもらっている。ポケットセラピストは『ポケットにセラピストがいる安心感を』という想いでネーミングしたが、その価値観がしっかり伝わっているように感じている。

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1対1の関係から1対nの時代へ

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私はこれまで医療職の仕事というのは、病院受診した目の前の患者のことを1対1で想うということ、そしてその関係性が、セラピストにとっても患者にとっても、非常に大切だと考えていた。

しかし、よっぽどの重症化フェーズにない限り、いまの市場の流れからしてヘルスケアビジネスの領域では、1対1というのは非常にストレスフルなものにもなり得る。

1対1のユーザーメリットは個別化されたアプローチやアドバイスが受けられることだが、ユーザーデメリットは「医療職と同じタイミングで自分も時間を割かなければいけない」ことだ。これはユーザー体験を損なう大きなネガティブな体験だ。

私自身の生活を振り返ると、わざわざリアル店舗にいかなくてもAmazonで欲しい物が買える、DVDを借りにいかなくてもNetflixで観たい映画が観れる、お腹が空けばUber Eatsで注文してしまえば、食べたい食べ物が家で暇つぶししている間に運ばれてくる。こんな体験が当たり前になった今、自分の健康のために医療機関にいく、ジムにいくなどの行動を起こす人はごく一部であり、多くの場合は「ただ面倒」としか思っていない。ポケットセラピストも仮説検証段階で、Skypeのようなオンラインでの相談機能を検証していた時期があったのだが、ユーザー体験はあまり良くなかった。一番のボトルネックになったのは専門家と1対1で時間を同時のタイミングで取らなければいけない面倒くささだ。

この検証結果を通して我々が学んだことは、医療職と患者またはユーザーのアシンメトリックな関係性は、今後より拡大していくということだった。
人間は誰でも怠惰であり、面倒くさがりだ。より便利な方がいい。

ロケーションの分散化やユーザーの考え方の変化を考えると、我々セラピストも1対nという視点で価値提供することを考えても良いかもしれない。

私自身は医療機関にいるときは一年間に担当した患者数で、生涯で自分が担当し、幸せにできる患者数の上限を計算し、ちっぽけな人生だなと感じた。そのとき自分が小さい取り組みだけどできることとして、自分の勉強したことをアメブロで公開し始めた。意外と反響もあり、セラピストや実際にその症状で悩んでいる人からもメッセージが来たこともある。いま思い返すと、このときから、医療機関にいながらも1対nという考えをして、いかに自分が社会に価値提供できるか、ということを考えていたのかもしれない。

いまポケットセラピストに登録しているセラピストはさまざまな職場で働きながら、自分の学んだ経験やもっているスキルを武器に市場に最大限の価値を提供してくれている。さらに、さまざまなヘルスケアメディアが閉鎖する中、ポケットセラピストニュースは、地道に継続しているが、ここで記事を書いてくださっているライターの皆さんも1対nをヘルスケア市場で実践してくれている大切な仲間だ。

正しい健康情報はなかなかネット上にはなく、間違えた知識・認識が、その記事を読んだ人の人生を変える可能性もある。
実は、一時期ポケットセラピストニュースの閉鎖を真剣に考えた。そんな悩んでいる最中にも、これまで人気を博していたヘルスケアメディアの多くは閉鎖をしていった。しかし、我々は反対に継続することを決めた。その理由は、ポケットセラピストニュースがあることでユーザーの人生を変えられる可能性が大いにあること、そして、年間1万人以上も誕生するセラピストが自身の価値を社会に最大化して還元する良い体験の場でもあることからその意思決定をした。もし、ライターとして興味がある方は、下記から気軽に連絡してほしい

1対nの時代でも一人一人を想い、幸せにすることには変わりはない

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これまで1対nの時代ということや、セラピストとユーザーの非対称性の時間が重要だということを伝えてきたが、それでも変わらないことは『ユーザー一人一人を想うこと』だと思う。

もしかしたら、セラピストとしての自分のスキルをもとに、SNSのフォロワーを増やして、情報発信できる母数を増やす、つまり、nの母数を増やせば、それは世の中に価値提供できると考える人もいるかもしれない。

しかし、個人的には1000人のLikeよりも、1人のLoveの方が圧倒的に素晴らしいと考えている。そのLoveを一人一人積み重ねて行けば、同じ1対nでも、その形成された関係性やコミュニティーは非常に有益なものになる。

何度も繰り返すように、医療・ヘルスケアのロケーションの分散化は確実に起きている。その中で、我々セラピストもその市場の流れを利用して、一人一人の課題解決をしながら、1対nの関係性を構築し、価値を最大化できる環境がすでに整っているので、ぜひ、その一歩を踏み出してもらいたい。

挑戦するときに必要なのは”自信”ではなく”覚悟”だ。

目の前にいない患者を幸せにするために

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最後に。私自身が起業したばかりの頃に最も多く言われたことがある。

遠隔(オンライン)で肩こり・腰痛がよくなるとか本気で言ってるの?

これは、肩こり・腰痛などの症状は、医療職が目の前で診て、カラダを直接触って筋肉の状態を確かめたり、様々なアプローチやアドバイスを目の前ですることが当たり前だったから。それが常識だからだ。

そして、セラピストからもこう言われた。

遠隔で本当にできるの?不安しかないです。そもそも遠隔とか限界があるでしょ。やばいこと始めたセラピストがいるよ。福谷のこと色々とネガティブに言っている人もいるよ。

でも、当初、我々を否定した人たちの期待を裏切るように、素晴らしいエビデンスが構築されているし、今後、より社会的な価値の大きいエビデンスが出てくる。

これまでの経験から、目の前にいない患者を幸せにするために必要なのは次の2つの要素だと思っている。

「常識を疑うこと」
「テクノロジーを駆使すること」

常に常識を疑い、理学療法や作業療法は対面でしか効果のでるアプローチはできないという固定概念から卒業しよう。対面の方が良いときもあれば、遠隔で十分なときもある。ヘルスケア分野においては、多くのセラピストが思っている以上に、対面である必要性がある場面の方が少ない

2つ目の「テクノロジーを駆使すること」という内容に関して、先日、エンジニアの金丸が、こんな発言をしていて、背筋がゾクゾクするような感覚を覚えた。

『自分たちはエンジニアで医療職ではないけど、ポケットセラピストの開発を通して、あたかも自分達が全世界の人たちの健康をよくしているという擬似的な体験をしているように感じている』

テクノロジーの力はすごい。

そして、セラピストの力もすごい。そして、未来は明るい。

未来を一緒に作るセラピスト募集しています。



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肩こり・腰痛などのカラダの痛みを切り口に、「労働生産性の向上」や、痛みと関連が深い「メンタルヘルス悪化のリスク」の予防・低減を目的とした健康経営支援アプリ“ポケットセラピスト”を運営しているバックテックの公式ページです。
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